罪刑法定主義

法学部通信教育課程に入学したものの、仕事との両立がうまく行かず、これまでほぼ全て独学を行ってきたわたしが、「勉強会」と呼ばれる講義に初めて出席してきました。
人脈を広げる目的で飛び込んだのですが、教授による講義の内容が面白かったです。
内容は刑法。
終末期医療における安楽死をどのように論ずるかというテーマ。
過去の事件の紹介や、スイスやドイツとの比較を聞き大変興味深かったです。

その前に、わたしのような初学者に向けた、刑法の入門・基礎の説明もあり、その中で聞けた面白かった話を一つ。

事例1

共犯関係にないA、BがそれぞれXを殺害する意思を持って、それぞれがXの飲み物に致死量の毒を盛った。
その結果Xは死亡した。

この場合、A、Bには何罪が成立するか。
→「殺人未遂罪」なのです。

もう一つ。
事例2

共犯関係にないA、BがそれぞれXを殺害する意思を持って、それぞれがXの飲み物に致死量の半分の毒を盛った。
その結果Xは死亡した。

この場合、A、Bには何罪が成立するか。
→「殺人罪」なのです。

なんで!
半分の毒を盛ったほうが罪が重いなんて。

刑法で有罪であるというためには、構成要件を満たす必要があります。
構成要件を満たすためには因果関係が成立しなければいけません。
「その行為があったからその結果が生じた」といえなければいけないのです。

事例1では、A又はBが毒を盛るという行為をしなかったとしても、もう一人が致死量の毒を盛っていたため、A又はBの行為とXの死亡に因果関係が認められないのです。
でも事例2では、AとBどちらかの行為がなければXは死亡しなかったので、AとBは殺人既遂といえるのです。

面白いですね。
勉強会のあと、先生を囲む懇親会にも出席させていただいたのですが、とてもfunnyでもある先生で、こんなお話もされていました。
「一日中頭の中で人を殺しているので疲れる」と。笑

殺人未遂・既遂の問題にはこんなのもありました。
「AがXを殺す意思を持って飲み物に毒を盛った。Xはそれを飲み込んだが、毒が胃に到達する前にBがXを殺す意思を持って銃撃した。その結果Xは死亡した。」
Aに殺人罪は成立する?Bには?ふたりとも?

「AがXをスカイツリーの頂上から殺す目的で突き落とした。Xが地面に到達する前に、殺意を持ったBがXを大砲で撃った。その結果Xは死亡した。」
この場合は?

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